2019年9月11日、丸の内の東京會舘で、助成金受領者と来賓合わせて約270名が出席し、 開催されました。
2019年度の助成について
2019年度は、50周年記念特別助成プログラムとして、自然科学研究助成(若手助成)、文化財修復事業助成を加え、自然科学研究助成1,569件、人文科学研究助成391件、文化財修復助成46件、社会福祉事業・研究助成260件の応募があり、これに対し、自然科学67件、人文科学38件、文化財修復9件、社会福祉41件、合計155件、計5億5千2百万円の助成が行われました。設立以来の助成の累計は、4,131件、約180億円に至っています。
贈呈式レポート
贈呈式では、小林理事長の挨拶、各分野の選考委員長からの審査報告の後、分野ごとに助成を受けられる方お一人おひとりが紹介され、代表の方に贈呈書が贈られました。 最後に、各分野の助成金受領者代表の方々が、謝辞とともに自らの研究・事業内容等を披露されて式は終了しました。
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小林理事長挨拶 | 佐藤選考委員長審査報告 |
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贈呈書授与 | 受領者代表挨拶 |
各分野の審査報告
- 自然科学
- 本年度の応募総数は一般助成931件、若手助成638件、合せて1,569件と昨年の約1.5倍に増加しました。特に50周年記念特別助成として今年度初めて募集しました40歳未満の方を対象とした若手助成について、大量の応募が集まり、若手の研究者の方の研究費に対する非常に強いニーズと意気込みを感じました。
選考にあたっては、引き続き、応募された研究計画のユニークさや既成概念にとらわれない研究かどうかを重視し、研究者のこれまでの業績に加え、若手については若手らしいチャレンジングな研究か等についても考慮するように心がけました。
その結果、助成件数は一般47件、若手20件、合計67件を採択と致しました。これは過去最高の件数ですが、それでも全体の競争率は23.4倍と昨年を上回ることとなりました。特に若手は31.9倍と非常に狭き門となりました。
助成金額は一般2億7千2百万円、若手8千万円、合計3億5千2百万円と、50周年に合わせ昨年の3億円から増額しております。
分野別では、応募・採択共に一般・若手合計で生命系約56%、理工・情報系約44%と比率はほぼ昨年と同様でした。女性は、応募166名、採択8名で昨年とほぼ同じ比率となっております。 - 人文科学
- 今年度は、従来の人文科学研究助成に加え、50周年記念特別助成として「社会的課題解決のための大型連携研究助成」を実施しました。一般案件の応募は355件で、昨年度に比べても42件の増加となりました。これに大型案件36件が加わり、応募件数の最高数を大幅に更新しました。 採択件数は一般案件が35件で昨年から3件の増加でした。大型案件は3件の採択となりました。競争率は10.3倍、査定率は63.0%となりました。助成金額の総額は一般案件6千万円、大型案件2千万円と、すぐれた研究に十分な金額を助成することができました。採択者の男女別は、男性31名、女性7名となりました。
人文科学部門には、歴史・文学・思想といった人文学の分野とともに、政治・経済などの社会科学分野の研究の応募もあり、人文科学系分野の案件においても、純粋な人文科学的な案件だけでなく、現代の社会的課題にインパクトのある案件も多く見受けられ、人文科学と社会科学の垣根が低くなっているとも言えます。現代的課題にも直接かかわる社会科学と、深い人間理解に資する人文科学双方から、広範な領域の研究者の応募を得ることは、大変よろこばしいことであり、多彩な研究をバランスよく助成できるよう、今後も努力してゆきたいと思います。 - 文化財修復
- 三菱財団発足50周年を記念して始まった文化財修復助成ですが、初年度の応募件数は46件、助成希望総額は1億1千9百万円となりました。今回は、事業初年度でもあり、かつ、告知から募集までの期間が約1ヶ月と短期間でしたが、予想以上に多数の応募があったことは、修復助成事業の必要性の高さを物語るものと思います。
慎重に審査した結果、採択件数は9件、助成金額は2千万円で、競争率は5.1倍となりました。採択者の応募金額に対する査定率は、95.9%と高水準となりましたが、これは修復の見積もりを付けた応募であること、資金に余裕のない申請者の負担を軽くすること等を勘案したもので、本修復助成の特徴といえると思われます。また、都道府県別では北海道から九州まで24都道府県と幅広くの地域から応募があり、採択も8都道府県からと幅広く助成対象とすることができました。分野別の応募状況を見ると、絵画、彫刻、工芸品、書跡、古文書、考古資料等と典籍を除く全分野から幅広く応募があり、採択も応募のあった全ての分野から、文化財の価値や修復の必要性・緊急性等を勘案し、修復による社会的意義の高い文化財に対するバラエティに富んだものとすることができたと考えております。 - 社会福祉
- 今年度の応募総数は260件で、昨年度に比べ28件の増となっており、福祉分野における助成ニーズは引き続き高い水準にあることが伺えます。なお、今回の募集に当たっては、財団50周年を機に、良質の事業主体を幅広く支援すべく、事業の特性に応じて一部要件の緩和を行っています。
応募の分野別では、内容が重なるものもありますが、例年同様、地域・在宅支援88件、児童・青少年79件、高齢者71件が続き、その他では、障害分野が高い水準を維持していますが、多文化共生・国際協力が35件と大幅に増えています。なお、採択ベースで見た分野別でも、構成比はやや異なりますが、やはり応募件数に応じた傾向となっています。
助成金額は、財団50周年を記念して昨年度より1千万円増額の 1億円とさせて頂き、助成件数は41件としております。因みに競争倍率は、昨年と同様6.3倍、査定率は、79.2%と前年比8.5%の減となっております。なお、個人に対する助成件数は29件ですが、そのうち女性は14件と約半数となっております。