事業内容

助成金贈呈式

2023年9月11日、丸の内の東京會舘で、助成金受領者と来賓、選考委員、財団役員合わせて約230名が出席し、2023年度助成金贈呈式が開催されました。今回の贈呈式は、コロナ禍の影響による開催見合わせを挟み、2019年9月以来4年振りの開催となりました。

2023年度の助成について

2023年度は、自然科学研究助成1,122件、人文科学研究助成254件、社会福祉事業・研究助成155件、文化財保存修復助成24件の応募があり、この中から、自然科学66件、人文科学29件、社会福祉33件、文化財保存修復11件の合計139件、5億6,390万円の助成が行われました。設立以来の助成の累計は、4,872件、209億円となっております。

贈呈式レポート

贈呈式では、三毛理事長の挨拶、各分野の選考委員長からの審査報告の後、分野ごとに助成を受けられる方お一人おひとりが紹介され、各分野代表の方々に理事長から贈呈書が授与されました。最後に、各分野の助成金受領者代表の方々が、謝辞とともに自らの研究・事業内容等を披露されて式は終了しました。

三毛理事長挨拶 助成金贈呈式の様子
三毛理事長挨拶 助成金贈呈式の様子
贈呈書授与 受領者代表挨拶
贈呈書授与 受領者代表挨拶

各分野の審査報告

自然科学
十倉選考委員長
[ 十倉選考委員長 ]
 今年度の自然科学分野の研究助成の総額は3億6,500万円となっております。これは、昨年実績と同額で、内訳は、一般助成3億500万円、若手助成6,000万円となっております。今年度の応募総数は一般助成771件、若手助成351件、計1,122件、昨年と比べ72件の増加となりました。応募件数は、一般、若手とも昨年比増加となり、競争率は、一般は15.1倍、若手は23.4倍と引き続き高倍率となり、内容的にも高いクオリティを維持しております。
 選考にあたっては、応募された研究計画のユニークさや既成概念にとらわれない研究かどうか、研究者のこれまでの研究実績などから当該研究の実現性等も考慮にいれ、また、若手については若手らしいチャレンジングな研究か等の観点も含めて見るように心がけました。審査手続きにおいては、選考委員会は実開催とオンラインを組み合わせ、面接はオンラインを活用し、効率性を意識しつつも、活発な議論を行った上で、クオリティの高い助成先を選定いたしました。
 その結果、助成件数は一般51件、若手15件、合計66件を採択候補と致しました。
人文科学
岩波選考委員長
[岩波選考委員長]
 今年度の人文科学分野の助成総額は昨年と同額の7,000万円となり、昨年度同様、大型連携研究助成(大型助成)を一般助成の枠内で実施しました。
 応募は大型13件、一般241件と、昨年度に引き続き増加し、コロナによる厳しい研究環境の中でも、研究者が前向きに研究に取り組もうとしている姿勢を感じました。
 審査にあたっては、選考委員会、面接共に実開催とし、大型は面接を経て1件、一般は29件を採択としました。そのうち女性が5人16.7%(前年比6人減、18.8%減)と減りましたが、平均年齢は46.1歳(前年比△2.7歳)とここ数年の48歳台から若返っております。なお、助成決定後にご辞退が1件あり、大型および一般の採択は合計29件となっております。
 withコロナからpostコロナへ移行する中、ここ数年制約を受けていた海外調査を積極的に計画に盛り込み、現代社会が抱える今日的課題解決を目指す意欲的な着眼点を持つ研究課題が多く寄せられました。その結果、今年度も深い人間理解に資する人文科学と、現代的課題にも直接かかわる社会科学の双方から、多彩な研究をバランスよく採択できました。
社会福祉
鈴木選考委員長
[ 鈴木選考委員長 ]
 今年度の社会福祉分野の助成総額は昨年に引き続き1億円となっております。
 応募数については、昨年に引き続きオンラインでの応募説明会を開催した効果もあり、法人・団体からの応募が昨年並みの高水準となり、個人の応募も含め、応募総数は昨年から2件増の155件となりました。
 申請内容につきましては、応募者の的確な問題意識の下、これまで必ずしも十分な取り組みがなされてこなかった様々な社会的課題に対する実践的な事業や開拓的な研究など、採択に値する良質な案件が数多くありました。
 応募内容を分野別に見ますと、例年同様、地域・在宅支援、高齢者、児童・青少年、身体障害、精神障害が多く、採択も同様の傾向となっております。
 審査に当たっては、今年は3年ぶりに選考委員会、面接ともにすべて実開催とし、予定どおりの審査を行いました。委員会で選定した48件の案件を6日間かけて個別に面接し、最終的に33件を採択することとしました。
 昨年に引き続き法人・団体の申込みに良質かつ大口の案件が多く、昨年比4件増の20件が採択となり、個人の採択は昨年比1件減の13件、うち女性は4件に留まりました。
文化財保存修復
小松選考委員長
[ 小松選考委員長 ]
 審査にあたっては、各委員がそれぞれの専門性を活かして全案件を評価し、委員会では高得点のものから、各文化財の修復の意義、必要度等を慎重に審査した結果、採択は応募24件中11件(競争率2.2倍)、助成総額は昨年と同額の3,000万円となっております。
 採択案件の応募金額に対する査定率は98.8%と高くなりましたが、今年は昨年度同様、資金に余裕のないと思われる申請者が多く、負担を軽くするよう配慮致しました。都道府県別では18都府県から応募があり、8府県から採択しました。また、分野的にも絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、歴史資料等と幅広く採択することができたと考えます。
 応募件数、金額ともに昨年度から減っておりますが、修復するに足る良質の採択先を選定できたものと考えております。引き続き、全国の教育委員会や日本博物館協会などを通じて本事業の趣旨を広く紹介して、応募件数の確保につなげていきたいと考えております。

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